空港取材

 

オリンピックが終わり、競技を終えた選手が次々と帰国するたびに、空港の様子が報道されていましたね。

外国との往来に必ず海を越えなければならない日本では、こうした空港での撮影が意外と多いものです。

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私も通信社で写真を撮っていた時には、成田や羽田空港へ到着の様子を撮りに出かけたことがありました。

報道機関には取材証があり、空港で開かれる記者会見など、通常入れない場所へのアクセスがあります。

成田空港は都心からの移動時間がかかるので、よほどのニュース性がないと行きませんでしたが、日本到着後の出待ちのシーンを撮る時は、出迎えの人たちに混ざって撮ります。

定刻通りにならないことがほとんどですので、待つのが仕事のようなもの。実際にシャッターを押すのはわずかな時間だったりします。

 

そんな成田に比べると、外国通信社は羽田空港へ行く機会の方が多いです。

今でこそ羽田も徐々に国際化が進み国際便が乗り入れていますが、国賓などの海外の要人は、昔から羽田に到着します。国家元首などの外国訪問はその国にとっては大きなニュースになりますので、ビジュアル的にわかりやすい空港での写真は売れるのです。

よく、アメリカの大統領など国家元首を乗せた国営機が着陸する様子が映った後、ドアが開いたら大統領が笑顔で手を振り、タラップを降りて出迎えの人たちと握手をする様子をテレビで見ることがありますよね。撮りに出かけるのはあのシーンです。


車で羽田空港へ行かれた方はご存知のように、空港周辺の道路はとても複雑です。そのうちの1本が、空港取材の受付場所へつながっています。鉄の門がある殺風景なところで、ここでセキュリティチェックを受け、空港職員らしき係りの方と一緒に着陸時刻まで屋外で待機するのです。

 

初めて羽田空港へ取材へ行くという日、先輩のカメラマンが持っていく機材を教えてくれました。

カメラのボディや基本レンズに加え、500ミリの望遠レンズと一脚。

これに、500ミリレンズに装着してより望遠側で撮影する事が可能になるテレコンバーターという補助レンズも加えます。

そして、3段の脚立。

2段のものは肩にかけても脇におさまるのですが、3段は脚の部分が自分のふくらはぎや脛に当たり何とも歩きにくい。カメラバックを斜めがけにし、片方に一脚をくっつけたレンズケースを提げ、もう片方に脚立を持って、ふらふらと移動するしかありませんでした。

 

そんな装備で空を眺めながら他社のカメラマンの皆さんと待機。

「あれだね」と皆が向く方を見ると、飛行機が見えます。だんだん近づく機体をぼんやり見ていた時です。

 

「はい、どうぞ」の声がしたかと思うと、一緒にいるカメラマンが一斉に走り出したのです。

「ええっ??」

なんだか分からないまま反射的に機材を抱え、皆の後を追いかける私。

だだっぴろい滑走路のアスファルトの上に躍り出ると、遠くにぽんぽんとポールが置いてあります。どうやらそこが所定の撮影スポットで、皆そこを目がけてひたすら突進。その手前に着くと、みんな並んで脚立を立てています。

私もゼイゼイしながら端っこに脚立を立てると、他のカメラマンがするように大急ぎで撮影の準備をし、脚立のてっぺんに座って望遠レンズをのぞきます。

するとほどなく、はるか遠くながらも我々のほぼ正面に飛行機が横づけで停まり、ドアが開くと中国の胡錦濤主席(当時)が登場。どーんと立ってにこやかに手を振ると、夫人と一緒にタラップを降りる。その様子をずっと黙ってぱしゃぱしゃとシャッターを押す私たち。

一行が屋内に入ってしまうともう撤収で、また大荷物を持って、とぼとぼと元いた場所へ戻ります。

引き返しながら、よく大荷物でこの距離を走れたなぁと、自分の「火事場のばか力」に驚いていました。

 

どんどん改装が進む羽田空港で今もあのダッシュをやっているのかわかりませんが、空港のニュースをテレビで見ると、撮っているカメラマンに思いがいってしまいます。

| Sayuri Inoue | 【体験記】 「通信社にて」 | 13:22 | comments(0) | - | - |